事業所紹介-日光工業(尾道しまなみ商工会)

29歳で独立した若手職人が、造船現場で培った技術を強みに新たな挑戦へ

丁寧な仕事ぶりに定評がある西中晃さん

 尾道市向島町で造船関連の製造業を営む日光工業は、船舶部品や造船所で使用される部品、製缶の小物などを手がけています。大量生産のライン作業ではなく、一つひとつ状況を考えながら作り上げる仕事が中心で、現場対応力と確かな判断力が求められる現場です。

 

 代表の西中さんは、高校卒業後に製造業の現場で約8年の実務経験を重ね、29歳で独立。「自分でやりたいことに挑戦したい」「責任を持って仕事に向き合いたい」という前向きな思いが、独立の大きな原動力になりました。創業から約1年4か月、その仕事ぶりは着実に評価を重ねています。ものづくりの根底にあるのは、「お客さんに失礼のない商品を届けたい」という強い想い。溶接から組立、出荷前の仕上げに至るまで、何度も確認を重ね、少しでも気になる点があれば手直しを行います。品質は技術力だけでなく、相手への礼節の表れでもあると考え、仕上げ工程を特に大切にしています。

 

 技術向上のために意識しているのは、日々の積み重ねです。他社製品を観察したり、過去の仕事を振り返ったりしながら、自身の引き出しを増やしています。「経験が一番の力」と西中さん。完成した製品を見た瞬間の達成感や美しさが、次のモチベーションへと繋がっています。

 

 尾道しまなみ商工会が創業を支援し、現在は確定申告や税務面をサポート。今後は設備投資の相談や事業承継による工場取得などで引き続き伴走型の支援を行っていく予定です。まずは一人で安定した経営基盤を築き、将来的には従業員を雇える規模へ。若くして独立し、自らの技術と責任で仕事に向き合う西中さんの挑戦は、これからも着実に前へと進んでいきます。

 

●日光工業
住所/尾道市向島町9438-1
TEL/090-4698-5183
営業時間/8:00~17:00
休み/土日曜・祝日

事業所紹介-株式会社アケミ檸檬(尾道しまなみ商工会)

宝石鑑定士からレモン職人へ。素材と手仕事にこだわるものづくり

生口島のレモンの美味しさを世界へと発信する齋藤さん

 代表の齋藤明美さんの歩みは、「自分の看板で勝負したい」という一貫した思いに支えられてきました。高校卒業後はゼロックス社で働きながら起業資金を貯め、宝石鑑定士の資格を取得。ティファニーに16年間勤務した後、東日本大震災をきっかけに独立を決意しました。自身が体調を崩したことから食に対する興味を持ち、飲食店で創業。おむすび屋やオーガニックレストランの経営を通じて、食と健康への探求心はますます加速し、農家を目指して広島県尾道市へ移住しました。現在は瀬戸田レモンの栽培とそれを使った加工食品の製造・販売に取り組んでいます。

 

 看板商品は「レモンカード」。レモンカードとは、レモン果汁とバター、卵、砂糖を混ぜ合わせたフルーツバターのようなもので、イギリスでは定番のおやつです。齋藤さんは、競争の激しいジャム市場を避け、日本ではまだ珍しいレモンカードに着目。パンに塗るだけでなく、肉料理のソースやドレッシングなど、いつもの料理がワンランクアップする調味料としても使える優れものです。

 

生口島の無農薬レモン、北海道産バター、喜界島のきび糖、尾道の平飼いで育った卵など、厳選した素材で作るレモンカード(80g870円)

 レモンカード製造で余る皮を活用するために開発したのが、無添加のレモンジャム。仕込みに半日かけた無農薬レモンの皮ときび糖のみで仕上げたシンプルな味わいは、毎日食べても飽きのこないおいしさで、フードロス削減にも繋がっています。また、瀬戸田を「レモンケーキの島」として発信したいとの思いから、国産素材にこだわったレモンケーキも製造。たっぷりと使用したレモンピールのさわやかな酸味と苦み、バターの濃厚な風味を感じさせてくれる贅沢な一品です。

 

 

製造はすべて手作業で行い、皮の苦味を抜くための下処理や、レモンの種を一つひとつ取り除く作業を繰り返します。市販のペクチンは使わず、レモン由来の成分だけで仕上げるなど、無添加へのこだわりも徹底。季節による味の違いに合わせてレシピを微調整するなど、手作りならではの味わいにこだわります。

 

 

 

バターの豊潤な香りと風味、レモンピールのさわやかな風味がマッチしたレモンケーキ(1個370円)

 現在も尾道にちなんだ新しい商品を開発中。尾道しまなみ商工会では、今後の展開を見据えて経営革新計画の申請サポートを行っていく予定です。齋藤さんの瀬戸田レモンの価値を高め、地域の魅力を全国へ届ける挑戦は、着実に次の展開へと進んでいます。商品はHPから購入可能です。知られざる瀬戸田レモンの真の美味しさをぜひご体感ください。

 

 

●株式会社アケミ檸檬

住所/尾道市瀬戸田町中野534

TEL/090-4369-1160

HP/www.akemilemon.com

事業所紹介−家具工房 ムゥ(広島県央商工会)

古民家の工房で家具職人が丁寧に作ったキッチンウェアがまもなく販売開始

「工房の見学も可能です。気軽に遊びに来てください」と熊野さん

 東広島市豊栄町の高台に佇む古民家を工房に、2024年に独立した家具職人の熊野浩司さん。北海道旭川にある家具店で無垢の家具を製作する家具職人として経験を積み、10年前に帰郷してからは広島県廿日市の特注家具を製造する企業で腕を磨いてきました。現在は工務店や家具会社からの依頼を受け、店舗什器や造作家具を手がけるBtoBの仕事を中心に活動しています。

 

 職人として何より大切にしているのは「納期を守ること」。大量生産とは異なるオーダーメイドの世界では、「信頼が最も重要」と熊野さんは話します。また、デザイン面では奇をてらうのではなく、シンプルで堅実、使い勝手の良さを重視した“工業デザイン的な考え方”を大切にしたものづくりを実践しています。

 

 そんな熊野さんが次に見据えるのが、無垢材を使った個人向け商品(BtoC)への展開です。第一歩として、「キッチンウェア」1アイテムを商品化する計画が進んでいます。もともと自宅用に作ったものでしたが、知人に好評だったことで商品化に着手。素材には防虫剤を使っていない国産材を採用し、口に触れる可能性がある商品として安心できる材料にこだわります。

 

まもなく完成するキッチンウェア

 今後は雑貨だけでなくイスやテーブルといった家具の製作もスタートさせる予定。「昔ながらのシンプルなデザインに仕上げ、使いやすさを重視した美しい形を追求していきたい」と熊野さん。無垢材の家具は、簡単なお手入れをしながら長く愛用できるのも魅力。家族と一緒に月日を重ねた経年変化も楽しめます。本格始動は試作を重ねた再来年頃を予定。そこには、よりいいものを提供したいという職人らしい哲学が光ります。

 

 商品化中のキッチンウェアは11月2日(日)に同町で開催された「セントルマルシェ」で試作品のアンケートを実施しました。実際の消費者の声を反映しながら商品のブラッシュアップを進めています。また、12月には、県央エリア(豊栄町・福富町・河内町)の商品をブランド認定する「セントルマルシェ・プライム」の認定審査会に参加予定。認定されれば広島県央商工会発行のパンフレットにも掲載される見込みです。キッチンウェアは受注生産のため、購入希望の方は電話またはメールでお問い合わせください。

 

 BtoBで培った確かな技術と、古民家の工房から紡がれる静かな情熱。家具工房ムゥの挑戦は、これからBtoCの世界へと広がります。

 

●家具工房ムゥ
住所/東広島市豊栄町吉原691-1
TEL/080-6321-6058

E-Mail/muw.woodcraft@gmail.com

事業所紹介ーきだに行政書士事務所(五日市商工会)

建設業許可と在留資格支援に強み、目的から設計する丁寧な伴走型支援

「事業の最善化を事業者の方と一緒に考えられる行政書士でありたいです」と木谷さん

 行政書士として扱う書類は多岐にわたりますが、木谷幸英さんが得意としているのが、建設業許可の新規申請や更新、旅館・ホテル業の営業許可申請、農地転用の許可・届出など。役所への提出書類を整える作業は煩雑で、現場優先の一人親方や中小事業者にとって負担が大きいものです。木谷さんはその手間を請け負い、スマートな事業の開始・継続を後押ししています。

 

 建設業では、500万円以上の工事受注には必ず必要となる建設業許可に加え、公共工事への参入には経営事項審査など追加要件を求められることもあります。工事を受注する際に、どんな許可が必要なのかを明確にしたうえで、申請や届け出の範囲を見極めることが大切です。木谷さんは資格や実務経験といった要件を、人員体制や業務内容と照らし合わせて丁寧に設計。業種選択を誤ると長年の経験が反映されない可能性もあるため、「何のための許可か」を明確にした丁寧なヒヤリングを行っています。

 

 もう一つの柱が、外国人の在留資格に関する相談対応です。申請取次行政書士の資格を持ち、NPO法人の一員として実務経験を重ねています。特定技能や技能実習制度の再編(育成就労制度)など、国の制度が大きく変わりつつある今、継続学習を重視し、企業と外国人双方に寄り添った支援の拡大を目指しています。

 

 木谷さんの魅力は、代替案や選択肢を提示する提案型であること。専門外の内容は他士業へつなぐなど、総合的な相談窓口としての役割を担っています。建設業許可は5年ごとの更新が必要で、毎年の事業年度報告を怠ると更新できないリスクもはらんでいます。継続的に専門家とつながる価値は大きく、専属の行政書士は現場第一の事業者にとって頼れるパートナーです。

 

 初回の相談は無料。初めて建設業許可に挑む方、在留資格について相談したい企業や外国人の方など、まずはお気軽にご相談ください。必要な手続きを正確に、最短で進めたい方におすすめです。

 

●きだに行政書士事務所
住所/廿日市市大野原2-6-16 1F
TEL/080-6458-8141
営業時間/9:00~18:00
休み/土日曜・祝日
HP/https://www.office-kdn.jp

事業所紹介−24季 Stabilized Wood Works(広島県央商工会)

樹脂含浸で木材に新たな価値を。多分野へ広がるスタビライズドウッドの可能性

スタビライズドウッドを使用した商品たち。木の温もりはそのままに、デザイン性や高級感を高めます

 東広島市豊栄町に工房を構える「24季(にしき)Stabilized Wood Works」(以下 24季)は、木材の内部まで液体樹脂を浸透させて強度・耐水性・装飾性を高める「樹脂含浸」を自社で施した木材(スタビライズドウッド)を扱う専門企業です。表面の塗装とは異なり、内部まで樹脂が浸透しているため、切削されても色が変わらず、本来の材より耐久性・耐水性を高めているのが大きな特徴。温もりある木目を活かしながら、石のような存在感を併せ持つ独自の質感が評価されています。

 

 この技術は、文房具(ペンなど)のほか、包丁やナイフの柄、アクセサリー、楽器パーツなど、幅広いアイテムに活用が可能。見た目の美しさだけでなく、耐久性、自然界に存在しない色の木材による神秘性、高級感の向上、オリジナリティの創出など様々なメリットがあり、今後の活用にも期待が高まっています。

 

 代表の近藤周平さんがこの技術に出合ったのは、前職の日用雑貨小売店で従事していた海外販路調査でした。海外のECサイトで包丁柄に使われていたスタビライズドウッドを見て、国内の製造者が極端に少ないことを知り、事業化の可能性を直感。独学で製法を習得し、国内では教え手がほぼいない領域に挑戦し続けています。

 

「すべて天然の素材で製造するため、全てが一点ものです」と近藤さん

 24季の事業は、樹脂含浸材(スタビライズドウッド)の「素材供給」が中心です。完成品は、全国規模のイベント出展やECサイトで発信しています。今年9月には熊野筆メーカーの「晃祐堂」とコラボが実現し、木材に県内産のモミジを使用した化粧筆も誕生しました。紅葉をイメージしたカラーは目を引く美しさで、伝統的な技術と新たな技術が合わさった唯一無二の商品になっています。

 

 創業時には、広島県央商工会のサポートを受けて、東広島市の移住・創業に関する補助金を活用。初期投資を最小限に抑えながら事業基盤を整えてきました。まだ認知は限定的ですが、2025年11月には、東京ビッグサイトで開催された「デザインフェスタ」に出展。2026年1月には京都で開催される「京都ナイフショー」にも出展予定で、活躍の場を全国へと広げています。独学で磨いた技術は現在も研鑽中。近藤さんはこれからも、 “木の新しい表現と可能性”を追求し続けます。

 

熊野筆メーカー「晃祐堂」とコラボした化粧筆。気品あふれるたたずまいは贈り物にもぴったりです

●24季Stabilized Wood Works

(にしき スタビライズドウッドワークス)
住所/東広島市豊栄町吉原4767-1
TEL/090-3749-1386
営業時間/9:00~18:00
休み/土日曜・祝日
HP/https://nsk24sss.base.shop

 

 

 

 

 

 

 

 

事業所紹介-株式会社キャリーライフ(沼田町商工会)

「空き家になる前にできること」を提案。実家を守る新しい予防サービス

「まずは、実家の現状を把握することから始めてみませんか?」と中川さん

 「空き家予防」という新しい視点で、2024年7月に事業を立ち上げた中川儀幸さん。全国各地で課題となっている空き家問題にこれまでとは違った切り口で挑み、住まいの未来を支える事業を展開しています。

 

 主な柱は、実家の価値を守るための「実家を活かす事業」と、小規模工務店の経営を支えるコンサルティング事業。いずれも、中川さん自身の体験から生まれた“暮らしと地域を守るためのサービス”です。中でも注目されているのが、空き家になってしまう前の段階から家の将来を考える「予防」目線のアプローチ。住む人がいなくなってから活用法を考えるのではなく、所有者が元気なうちに家の状態を把握し、価値を維持しながら選択肢を広げる仕組みづくりに取り組んでいます。

 

 その核となるサービスが「実家見直しドック」です。専門家が建物の劣化状況や市場価値を診断し、長く暮らすための改修提案や、売却・住み替えといった幅広い選択肢を提示します。価値を“高める”よりも、“下げない・維持する”ことを重視しており、早期対策によって修繕コストが大幅に抑えられる可能性も秘めています。また、所有者の気持ちに寄り添うサービスとして「実家想い出フィルム」の制作も行っています。家を主役にした映像を通じて、家族の記憶や感情を丁寧に記録。所有者が存命のうちに家の情報を次世代へ引き継ぐ“受け皿”としての役割を担います。

 

「実家見直しドック」で活用する「実家じまいノート」。自身のこと、家族のこと、資産のこと、今後のことなどを一冊のノートにまとめます

 もう一つの柱である小規模工務店向けの支援事業では、社長が営業や管理を兼務することが多い小規模の工務店に対し、営業代行、人材教育、業務効率化などをサポートしています。これまでハウスメーカーや工務店など、住宅系の企業で20年勤め、住宅販売、リノベーション提案、不動産など様々な住宅関連サービスに従事してきた中川さん。事業所に今必要な支援をプロの目線で、提案・提供してくれます。

 

 「空き家予防」は、中川さん自身が相続した実家の扱いに困って誕生した新しいサービス。空き家問題に悩む個人の不安を解消するだけでなく、地域の価値を守ることにもつながる新しい取り組みは、これからさらに広がっていくはずです。

 

 沼田町商工会では、この新しいサービスの周知をサポートするため、動画制作支援などの専門家による個別相談を実施。中川さんも同商工会が主催する会員交流会に参加するなどして、事業の魅力を伝えています。

 

●株式会社キャリーライフ
住所/広島市安佐南区伴中央7-14-16-8
TEL/082-563-7944
営業時間/9:00~18:00
休み/不定休
HP/https://carrylife.jp/

 

事業所紹介- CRAFT PORT(神辺町商工会)

大小さまざまな課題を、企業に寄り添った伴走型の支援でサポート

対面で相談できるフットワークの軽さも妹尾さんの魅力です

 クラフトポートの代表・妹尾諭卓さんは、デジタルを活用して経営課題を解決するスペシャリスト。中小・小規模事業者向けに「仕掛け(ブランディング・マーケティング)」と「仕組み(バックオフィス改善・デジタル化・DX)」の2つを軸に、ワンストップで行う伴走支援に取り組んでいます。

 

 妹尾さんはこれまで、大手ワークウェアメーカーの情報システム部門でヘルプデスクやDX、セキュリティなどを担当。在籍中に基本情報技術者の国家資格も取得しました。その後、Webサイトの構築を独学で学び独立。前職で様々な課題に直面してきたからこそ身に付いた、ヒアリング力や判断力、解決力が大きな強みになっています。

 

 妹尾さんが大切にしているのは、現場の声を大切にした伴走型のサポート。一般的なコンサルとは異なり、コミュニケーションの中で、その企業にとって一番良い解決策を一緒に導き出していきます。「企業の中で何かを変える時には、必ずといっていいほど不安の声や反発の声が上がります。スムーズにプロジェクトを進めるには、経営者の意図をくみ取りながら、現場の気持ちにも寄り添うことが大切だと考えています」と妹尾さん。中小企業・小規模事業者にとってDXは、まだまだハードルが高い分野。経営者がやっていきたいと感じていることを具体的に提案し、叶えられる存在になりたいと言います。

 

青年部での活動の様子

 神辺町商工会の青年部員でもある妹尾さんは、今年度、同部の経営力向上委員会の委員長に抜擢されました。青年部員の経営力を上げるための企画を考案し、実践しています。今年度は7月に、5年後、10年後のビジョンを明確にする個人ワークを実施。各自が自社の課題と向き合い、解決策について考えました。10月には講師を招いて「新規事業開発と組織づくり」に関する講演会を開催。2月には各自が解決策に取り組んだ事例発表を行う予定です。「青年部員が青年部員を支援する体制づくりにも取り組んでいきたい」と妹尾さんは力を込めます。

 

 困りごとをどこに相談したらいいか分からないという経営者のみなさん。まずは小さなことから解決に乗り出してみませんか?

 

●CRAFT PORT (クラフト ポート)

住所/福山市東川口町4-1-16

TEL/080-6308-9405

営業時間/9:00~18:00

HP/https://craftport.jp

事業所紹介-甲斐農園(安芸津町商工会)

安芸津産レモンを武器に首都圏開催の商談会へ挑戦。次世代につながる農業を目指す

「オリジナルのみかん100%ジュースもおすすめです」と甲斐さん

 東広島市安芸津町でレモンやミカン、ジャガイモ、青ネギを生産している「甲斐農園」。瀬戸内の温暖な気候とミネラル豊富な赤土の畑に育まれた、美味しい農産物を育てています。特にレモンは、皮まで安心して使える国産レモンとして評価が高く、みずみずしさや優しい酸味・甘みが支持され、加工用としての需要も高まっています。

 

 栽培だけでなく、自家栽培の作物を使った加工品の開発にも積極的。製造を東広島市のかりんとう専門店「香木堂」に依頼し、OEMで完成させた「じゃがいもレモンかりんとう」は、安芸津の魅力を詰め込んだお土産にもぴったりの一品。安芸津町の特産であるジャガイモとレモンを組み合わせたオリジナル商品で、優しい甘みとほのかなレモンの香り、ジャガイモを使った軽い食感が特徴です。産直市や道の駅西条のんたの酒蔵、オンラインショップなどで販売しています。

 

 11月13日(木)、14日(金)には、安芸津町商工会のサポートを受け、東京ビッグサイトで開催される「地方銀行フードセレクション」に初出展。自家製レモンと「じゃがいもレモンかりんとう」の魅力を直接バイヤーにPRしました。目的は販路拡大にとどまらず、バイヤーの生の声や市場ニーズをつかむこと。他の出展者の商品の見せ方や販売方法を知ることも、今後の商品開発や戦略づくりに役立つと期待しています。

 

さわやかなレモンの風味を感じる「じゃがいもレモンかりんとう」

 現在、同商工会から専門家派遣を受けて、さらなる加工品を開発中です。新商品はすぐに調理して使うことができる、ジャガイモを冷凍した加工品。規格外品の有効活用と利便性向上を両立した商品で、家庭用だけでなく業務用としての需要も期待されています。

 

 「いろいろなアイデアや知恵で、安定して継続できる農業を追求していきたいです。目標とするのは、時代の流れと市場ニーズに合わせて進化する農業。そして、この仕事をやりがいのある仕事として、次の世代へ引き継ぎたい」と甲斐さん。加工品開発や販路拡大、商談会への挑戦など、甲斐農園が続ける取り組みは、次世代へ向けた新しい農業のロールモデルとしての可能性を広げています。挑戦を続ける姿勢は、地域農業の未来にも明るい光を投げかけていました。

 

●甲斐農園
住所/東広島市安芸津町木谷5237-1
TEL/080-5054-4607
営業時間/8:00~17:00
休み/日曜
HP/https://www.kai-nouen.com

事業所紹介-焼き鳥れんと(神辺町商工会)

鮮度抜群の朝引き地鶏を堪能。80席の広々空間は、忘新年会などの団体利用にも便利

訪れたらまずオーダーしてほしい「おまかせ焼き鳥10本盛り」(2,035円)

 福山市神辺町に今年7月22日にオープンした「焼き鳥 れんと 道上店」は、人気店「れんと」の2号店として誕生しました。本店と同じメニューを楽しめるほか、席数は約80席と多く、団体や家族連れでもゆったりと過ごせるのが特長です。内装は杉を基調にした和風の落ち着いた雰囲気で、全席が半個室。プライベート感のある空間でゆっくり食事を楽しむことができます。

 

 鶏肉は冷凍ものを使わず、鮮度抜群の朝引き地鶏のみを使用。フレッシュな鶏肉ならではの食感や旨味、ジューシーな肉質を堪能できます。焼き方は素材に合わせて炭火とガスを使い分け、素材の良さが最も引き立つ調理法で提供。素材ごとに最適な火入れを施したこだわりの一串は、そのおいしさに驚かされるものばかりです。

 

 おすすめは看板メニューの「自家製の手ごねつくね」(495円)。大きめにカットした玉ねぎのザクザク食感と大葉の爽やかな風味がやみつきになる逸品です。味の決め手となるタレは、10種類以上の調味料に赤ワインを隠し味に加えて、じっくりと2日間煮込んだ秘伝の味。甘めの濃厚な味わいがご飯にもお酒にもよく合います。

 

広々とした店内は間仕切りで仕切れ、少人数から団体まで幅広く対応

 焼き鳥は約30種類を揃え、オリジナルのアレンジ串を含めると約50種類と充実。一品料理では季節限定メニューのほか、鮮度抜群の刺身も楽しめます。また、これからの忘新年会シーズンにぴったりのコース料理も用意。すべて生ビールが楽しめる2時間の飲み放題付きで、4,500円、5,000円、6,000円のコースがスタンバイ。4,500円では、刺身盛りや焼き鳥5本、唐揚げ、お茶漬けなど8品が堪能できます。

 

 ただ今、忘年会・新年会の予約を受付中。特に週末は早めの予約がおすすめです。予約はHPでも受け付けています。厳選した素材で作る手間暇かけた焼き鳥を、仲間と一緒に楽しんでみませんか?


焼き鳥 れんと 道上店
住所/福山市神辺町道上21-4
営業時間/18:00~翌1:00
休み/水曜
HP/https://yakitori-rento-mitinoue.owst.jp

事業所紹介- Hair garden Nana(安芸津町商工会)

これからも変わらず同じ場所で、同じ安心を。地域に寄り添い続けるヘアサロン

「まだ出会ったことのない地域の方に出会うために、これからもお店を続けていきたいです」と佐川さん

 「Hair garden Nana」を営む美容師の佐川武美さんは、この道38年のベテラン。地域に密着した温かなサービスを届け続けるこのお店もこの場所で昨年30周年を迎えました。「Nana」という店名には、庭のように心が休まる場所でありたいという想いが込められています。

 

 佐川さんが最も大切にしてきたのは、お客さまとの丁寧なコミュニケーション。施術前の対話を重視し、髪質や過去の施術履歴だけでなく、その日の気持ちや生活スタイルまで含めて共有。お客さまが心の中でぼんやり描いているイメージを言葉に置き換え、すり合わせながら形にしていきます。また、技術面では、ブロッキングや薬剤塗布といった細かな手順の丁寧さを守りながら、時間内に収める迅速さが強みです。カラー剤などは髪や体への負担と価格帯のバランスを判断し、過度なこだわりによる高額化は避けつつ、安心して通い続けられるものを選んでいます。

 

 近年、特に相談が増えているのが加齢による髪質の変化。年齢とともに気になりやすいうねりやハリ・コシの低下に悩むお客さまには「髪質改善トリートメント」で対応し、髪質の改善を目指しています。「無理に若々しさを作り込むのではなく、その人の今に寄り添う自然でやわらかな艶を引き出します」と佐川さんは話します。

 

 

座ったままシャンプー台に移動できるイスを導入。その他にも、店内には佐川さんの想いがちりばめられています

 10年前にリニューアルした店内は、エレガントで落ち着いた雰囲気。長く通うお客さまの年齢変化にも対応し、手すりの設置や、移動負担を減らす椅子の導入、席ごとの引き出し設置など、使いやすさや居心地の良さにもこだわりました。来店者同士が視線や動線で交わらないレイアウトは、地域特性に合わせた“安心して通える美容室”という信頼にもつながっています。

 

 さらに利用しやすい美容院を目指して、佐川さんは安芸津町商工会が主催する事業計画セミナーにも参加。その後専門家派遣を受け、Canvaによるチラシの作成にも挑戦する予定です。また、LINE公式アカウントを作成し9月から運用をスタート。予約やショップ機能を一元化し、利便性の向上にも努めています。これからも「変わらない安心」と「年齢に寄り添う美しさ」を大切に、地域の暮らしの中に息づく美容室は時代の変化とともに進化し続けます。

 

●Hair garden Nana(ヘアガーデンナナ)
住所/東広島市安芸津町風早1475-49
TEL/0846-45-5877
営業時間/10:00~18:30
休み/月曜、第1・3・5日曜
HP/https://zzypv.crayonsite.info