事業所紹介-八千代きりちゃんラーメン(安芸高田市商工会)

風景と記憶を残しながら、最先端の一杯を届ける山奥のラーメン店

名物のネギ中華そば(930円)。ネギは地元のハコサン農園から仕入れ。どのラーメンにも白めしが一杯無料で付きます

 広島市の北部、イノシシやシカが姿を見せることもある国道54号線沿いに、2025年6月にオープンした「八千代きりちゃんラーメン」。東京の新しい文化である『ちゃん系ラーメン』が味わえる、今話題のお店ですが、この店を手掛ける株式会社ホッツッ代表の渡部崇さんが大切にしたのが、風景や思い出ごと残す『情景承継』です。この場所で30年親しまれてきた「ラーメン霧切谷」の外観や佇まいはあえてそのままに、新たなラーメン店としてのスタートを切りました。

 

 提供しているのは、東京のラーメンシーンの最前線で支持を集めてきた「ちゃん系ラーメン」。関東の醤油を軸に、高加水麺を合わせた一杯です。見た目は素朴ながら、芯のある味わいが特徴。店主の渡部さんは「ちゃんのれん組合」に加盟し、組合のルールにのっとって、スープは毎日店で炊き上げています。当時、組合への加盟は東京以外では初ということもあり、注目を集めました。スープは豚と親鶏をベースにした清湯(チンタン)スープ。ちゃん系ラーメンの特徴である「しょっぱくてうまい」を忠実に体現しています。輪郭のはっきりした塩味の奥から、甘みと旨味がじんわりと広がる至極の一杯です。

 

店内はカウンター6席のみ。馴染みの外観は当時のままです

 柔らかなチャーシューには脂身の少ない腕肉を使用し、オーダーが入ってから切る“切りたて”で提供。最高の薄切りを実現するため、ドイツ製の高性能スライサーも導入しています。目指すのは、単なる「昔ながら」ではなく、現代の技術で再現する「どこか懐かしい味」。記憶の中にあるおいしさを、今味わえる一杯として届けます。

 

 オープンから半年以上が過ぎ、早くも行列が絶えない人気店になりましたが、その人気に火をつけたのは、地域の高齢者。口コミで評判が広がり、現在では平日でも140杯以上を提供しています。柔らかめの麺、しょっぱ旨いスープ、食べやすいチャーシューは、高齢層の嗜好にマッチ。売り上げ以上に、高齢者が楽しそうに食事をする姿にやりがいを感じていると渡部さんは話します。

 

 今後の目標は、夜中に軽トラックで町を回り、温かい一杯を届ける「夜鳴きそば」を復活させること。かつての風景を現代に蘇らせながら、広島発の新しいラーメン文化を育てていきます。

 

●八千代きりちゃんラーメン
住所/安芸高田市八千代町向山316-26 峠の茶屋内

営業時間/7:00~14:00、土日曜は10:00~15:00
休み/月曜