事業所紹介-長谷川紙器工業所(福山あしな商工会)
昔懐かしいレトロな魅力を残す「貼箱」。新たな付加価値をつけて、新しいファン層を獲得
投稿日:2025.09.05

お気に入りの本や読みかけの本を並べて、身近な本棚として使える貼箱(1個1,500円)
昭和34年創業の長谷川紙器工業所は、福山市新市町で貼箱製造を専門とする工場です。貼箱とは、厚紙に和洋紙などを貼り合わせて作るパッケージで、和菓子や掛け軸、贈答品など高級品の箱として重宝されてきました。1ミリほどのボール紙に紙を手で貼り、一つひとつ仕上げるため、軽くて丈夫。さらに手作業ならではの温かみがあります。
時代の流れとともに、大量生産型の「トムソン箱」が普及し、貼箱の需要は減少。ものづくりの町・福山市の貼箱業者も後継者不足で年々減少しています。しかし、ここ数年は、改めて貼箱ならではのレトロ感や希少性によって人気が再燃。トムソン箱と比べて木型代が不要のため、初期費用をおさえて小ロット作ることができるメリットもあり、同社の技術は再評価されています。
こうした流れを受け、新たな販路開拓にも尽力。デザイナーやクリエイターとコラボした商品開発も活発で、本棚にもなる貼箱「BOOX」や尾道の「なかた美術館」と連携し、廃盤になった海図をアップサイクルして仕上げた貼箱など、地域性とアイデアを融合させた商品が次々に誕生しています。

福山あしな商工会で専門家のアドバイスを受ける長谷川裕之さん(正面左)と笙悟さん(正面右)
現在、福山あしな商工会の伴走型支援を受けながら専門家派遣による販路拡大にも挑戦中。クリエイターへの訴求方法を学び、和菓子店など従来の顧客層に加え、雑貨や観光土産など新しい分野にも視野を広げています。
2023年4月には代表・長谷川裕之さんの息子で3代目となる笙悟さんが帰郷し、親子で工場を運営。長年培った製法と新しい発想を組み合わせ、「箱の魅力」をより多くの人へ届けることを目標にしています。「まずは貼箱の手触りや温かな雰囲気などの魅力をたくさんの人に知ってもらい、ファンを地道に増やしていきたい」と笙悟さん。アイテムやイベント出店情報はInstagram(@hakoyahase)で発信中。商品はHPから購入できます。貼箱ならではの温かな質感と柔らかな雰囲気に触れてみませんか?
●長谷川紙器工業所
住所/福山市新市町戸手2302-12
TEL/0847-51-2906
営業時間/8:00~17:00
休み/土日曜・祝日