事業所紹介-花見堂(大野町商工会)
惜しまれながら閉店した老舗の味を未来へ。機械と技、思いを受け継ぎ「みせん煎餅」が2年ぶりに復活

「みせん煎餅」の味と技を受け継いだ店主の花見堂英延さん(左)と、焼き方を伝授した「みせん本舗岩むら」の岩村さん
宮島口で50年以上にわたり親しまれ、2024年8月に惜しまれながら閉店した「みせん本舗岩むら」。その看板商品だった「みせん煎餅」が2年の時を経て復活しました。味を受け継いだのは、2026年9月1日に宮島口にオープンした「花見堂」。店主の花見堂英延さんが、岩むらで使われていた機械や道具、製法を受け継ぎ、一枚一枚手焼きで懐かしい味をよみがえらせています。
花見堂さんは以前、廿日市市役所に勤務し、その後「おおの自然観察の森」で自然観察指導員として活動していました。岩村さんとは以前から付き合いがあり、閉店を知った時、「宮島口を代表する宮島土産がなくなるのは寂しすぎる」と事業承継を決意。閉店時に機械を譲り受けて保管し、岩村さんからマンツーマンで焼き方を教わりながら、復活への準備を進めてきました。
みせん煎餅は、ピーナッツをふんだんに使った香ばしい煎餅。カリッと焼き上げた生地にピーナッツの食感がアクセントを添え、バターの豊かな風味と上品な甘さが広がります。どこかクッキーのような洋菓子の趣もあり、一枚でも満足感のある食べ応え。復活を待ちわびていたファンも多く、昔から根強い人気を誇る宮島土産です。

弥山の図柄が刻まれた焼きたての「みせん煎餅」。カリッと香ばしい生地とピーナッツの食感、バターの風味が楽しめます
昔ながらの味を再現するため、使うのは岩むらから譲り受けた機械。一枚一枚手焼きするため、焼き上がりはその日の環境にも左右されます。大切なのは、手を動かすリズムと焼き上がりを見極める「勘」と「間」。花見堂さんは自分なりのリズムをつかみながら、岩村さんから教わった技術を日々磨いています。また、譲り受けた金型のデザインを手がけたのは、宮島彫りの伝統工芸士・故広川和男さん。長年愛されてきた味だけでなく、道具や技、地域の文化も次の時代へと受け継がれています。
店内では目の前で煎餅が次々と焼き上がり、甘く香ばしい香りとともに手焼きならではのライブ感が楽しめるのも魅力。午前中は、熱々の焼きたてを味わえることもあります。ユーモアあふれる花見堂さんや個性豊かなスタッフとの会話も、この店ならではの楽しみです。
9月末までには岩村さん直伝のもみじ饅頭も販売開始予定。こしあん、粒あんに加え、生地そのもののおいしさを楽しめるカステラの3種類が登場します。 「商品・味・志を受け継ぎ、みせん煎餅を末永く残していきたい」と花見堂さん。地域の事業者と一緒に宮島口を盛り上げ、訪れる人にもっと楽しんでもらえる場所にしたいと、新たな一歩を踏み出しています。
●花見堂(はなみどう)
住所/廿日市市宮島口1-3-3
TEL/0829-56-0637
営業時間/10:00~18:00
休み/水曜(祝日の場合は翌日)

