2025年7月の記事一覧
「令和7年度第20回商工会職員パワーアップセミナー」開催(県連)

初めて広島駅北口にある広島コンベンションホールで開催。県内から228名の職員が集まりました
広島県商工会連合会と広島県商工会職員協議会は6月14日(土)、広島コンベンションホールにて『令和7年度第20回広島県商工会職員協議会パワーアップセミナー』を開催しました。開会にあたり県連の長谷川信男専務理事は「中小・小規模事業者支援の現場は依然として厳しく、職員による的確な支援が求められています。今回の事例発表には実践的な学びが多く、県全体の支援能力向上につながる貴重な機会となることを期待しています」とあいさつ。続いて登壇した職協の井上憲会長は、「商工会職員は地域の小規模事業者に寄り添い、時に経営の転機をともに支える大切な役割を担う一方で、まだまだ結果を追求するプロになりきれてないのではないか?」と参加者に問いかけ、「自分たちの子どもや孫にも心から勧めることができる職業となる事をみんなで目指して行こう」と呼びかけました。
経営支援事例発表大会では、県内の経営指導員等から提出された108事例の中から、専門家による審査結果を参考に、経営指導員部会の最終審査で選出された4つの事例を発表。発表を行ったのは安芸高田市商工会の清水康平経営指導員、沼田町商工会の清代茂樹経営指導員、江田島市商工会の田部智史経営指導員、沼隈内海商工会の三谷真奈経営指導員の4名。それぞれ支援を行った事業者が直面した課題やそれを解決するために行った支援について、相談のきっかけから、支援方法の決定とその根拠、支援後の成果などを丁寧に説明しました。支援先の事業者は養魚場や仏壇店、焙煎珈琲専門店、遊漁船と様々。参加者は自身が支援を行っている事業者と照らし合わせながら、取り入れられる支援のヒントを得ようと、真剣な面持ちで聞き入っていました。

左から清水経営指導員、田部経営指導員、井上職協会長、三谷経営指導員、清代経営指導員
続けて行われた研修会では「明るい職場づくり(オフィス環境整備)」をテーマに、移転と職場環境の改善に成功した広島安芸商工会の実谷参事と県連の進藤総務課長がそれぞれ発表を行いました。商工会館の移転が、多くの商工会で課題となっている事を踏まえながら、移転までの流れや決定のプロセス、移転後に伴うオフィス環境の改善によるメリットなどの説明がありました。また、県連の遠山事務局長より、今後5年間の県連の基本方針「県連第二次総合基本計画」についても説明がありました。
最後に経営支援事例発表の結果発表が行われ、江田島市商工会の田部経営指導員が最優秀賞を受賞。審査委員長を務めた一般社団法人広島県中小企業診断協会の井上明雄会長は講評で「レベルが非常に高く、審査は紛糾した」と今回の大会について高く評価。田部経営指導員に対して「一つ注文を付けるなら、成果の収益性についても盛り込んでほしい」とアドバイスを送りました。田部経営指導員は、10月9日に山口県で行われる中国ブロック大会に広島県代表として出場します。
その後、会場を移して行われた情報交換会には169名が参加。事例発表に刺激を受けた参加者たちは、積極的な交流を行っていました。
会員事業者同士が互いに学びあう、DXサークル勉強会を開催(広島安佐商工会)

今回の勉強会には5つの事業所から6名が参加しました
広島安佐商工会では、地域の中小・小規模事業者を対象に、デジタル活用を学び合う「DXサークル」勉強会を継続的に開催しています。6月13日(金)に、その10回目が行われ、講師を務める株式会社金本商会にて、AI技術を活用した廃棄物選別やRPF(固形燃料)製造プロセス、同社のDX化への取り組みなどを学びました
この勉強会のきっかけは、「DXに興味はあるけれど、何から始めていいか分からない」という事業者の声。そこで同商工会では、実際にDXを導入した地域の5社による成功や失敗の事例を紹介し合う「DXサークル」を2023年春に立ち上げました。製造業や販売業など多様な業種の参加があり、各社の現場を訪問して情報交換を行う実践的なスタイルが好評です。

今年の春に稼働した広島工場。参加者は、AIを活用した最新の設備機器を見学
今回、勉強会の会場となった株式会社金本商会の広島工場(広島市安佐北区大林町)は、産業廃棄物を固形燃料RPFへと再資源化し、脱炭素社会への貢献を目指す企業。最新のAI搭載光学選別機を導入し、異物混入の自動検知や塩素除去を高精度で実現しています。RPFとは石炭に比べCO2排出量を33%削減できる優れた次世代燃料で、同社では2024年度に1万4829トンを生産。これは杉の木81万1440本が一年間に吸収するCO2に相当し、1万1270トンのCO2削減に貢献しました。
さらに、同社のDX化への取り組みについても紹介。「楽々明細」(電子請求書)、「サイボウズOffice」(グループウェア)、電子マニフェスト(JWNET)、「温度管理システム+スプリンクラーの遠隔制御」など、災害リスクの低減から業務効率化、顧客サービス向上まで、幅広い効果を生み出しています。今後は、配車注文のアプリ受注や、RPF製造によるCO2 削減の可視化、混合廃棄物選別ラインの稼働データ管理なども検討されています。
勉強会の中盤から、先進的なテクノロジーを導入した産業廃棄物処理工場に場所を移し、AI技術を搭載した光学選別機で軽量物・細粒物・重量物を効率よく選別する様子を間近で見学しました。参加者たちは、こうした技術を自社にどのように適用できるか、具体的なイメージを膨らませながら、担当者に質問していました。

AIが学習することで、ごみの選別判断の精度が自動で向上していきます
見学後に行われた質疑応答では、講師と参加者が感想を交えながらフリートーク。自社の課題と照らし合わせながら、AI導入の背景や現場での工夫点、成功と課題、今後の展望など、活発な意見交換が行われました。参加者からは「DXがぐっと身近に感じられた」「現場レベルでのヒントが多かった」との声が聞かれました。
●お問い合わせ
広島安佐商工会 TEL/082-814-3169