2025年12月の記事一覧
事業所紹介−24季 Stabilized Wood Works(広島県央商工会)

スタビライズドウッドを使用した商品たち。木の温もりはそのままに、デザイン性や高級感を高めます
東広島市豊栄町に工房を構える「24季(にしき)Stabilized Wood Works」(以下 24季)は、木材の内部まで液体樹脂を浸透させて強度・耐水性・装飾性を高める「樹脂含浸」を自社で施した木材(スタビライズドウッド)を扱う専門企業です。表面の塗装とは異なり、内部まで樹脂が浸透しているため、切削されても色が変わらず、本来の材より耐久性・耐水性を高めているのが大きな特徴。温もりある木目を活かしながら、石のような存在感を併せ持つ独自の質感が評価されています。
この技術は、文房具(ペンなど)のほか、包丁やナイフの柄、アクセサリー、楽器パーツなど、幅広いアイテムに活用が可能。見た目の美しさだけでなく、耐久性、自然界に存在しない色の木材による神秘性、高級感の向上、オリジナリティの創出など様々なメリットがあり、今後の活用にも期待が高まっています。
代表の近藤周平さんがこの技術に出合ったのは、前職の日用雑貨小売店で従事していた海外販路調査でした。海外のECサイトで包丁柄に使われていたスタビライズドウッドを見て、国内の製造者が極端に少ないことを知り、事業化の可能性を直感。独学で製法を習得し、国内では教え手がほぼいない領域に挑戦し続けています。

「すべて天然の素材で製造するため、全てが一点ものです」と近藤さん
24季の事業は、樹脂含浸材(スタビライズドウッド)の「素材供給」が中心です。完成品は、全国規模のイベント出展やECサイトで発信しています。今年9月には熊野筆メーカーの「晃祐堂」とコラボが実現し、木材に県内産のモミジを使用した化粧筆も誕生しました。紅葉をイメージしたカラーは目を引く美しさで、伝統的な技術と新たな技術が合わさった唯一無二の商品になっています。
創業時には、広島県央商工会のサポートを受けて、東広島市の移住・創業に関する補助金を活用。初期投資を最小限に抑えながら事業基盤を整えてきました。まだ認知は限定的ですが、2025年11月には、東京ビッグサイトで開催された「デザインフェスタ」に出展。2026年1月には京都で開催される「京都ナイフショー」にも出展予定で、活躍の場を全国へと広げています。独学で磨いた技術は現在も研鑽中。近藤さんはこれからも、 “木の新しい表現と可能性”を追求し続けます。

熊野筆メーカー「晃祐堂」とコラボした化粧筆。気品あふれるたたずまいは贈り物にもぴったりです
●24季Stabilized Wood Works
(にしき スタビライズドウッドワークス)
住所/東広島市豊栄町吉原4767-1
TEL/090-3749-1386
営業時間/9:00~18:00
休み/土日曜・祝日
HP/https://nsk24sss.base.shop

