経営革新

神辺中井商会(福山市神辺町)【経営革新事例】

神辺中井商会(福山市神辺町)【経営革新事例】

創意工夫を凝らしたコロッケづくりで経営革新の承認を受けた沖田眞由美社長

会社名 有限会社神辺中井商会
代表者 沖田眞由美
住所 広島県福山市神辺町川北544番地
TEL (084)962-0439
FAX (084)962-0439
営業時間 午前8時から午後7時
定休日 日曜日、祝日
経営革新承認 平成19年7月

経営革新計画の内容

「観光資源と地元産品を活用した“本陣コロッケシリーズ”の販売展開」(平成19年7月承認)

主な業務内容

 昭和46年創業の老舗の飲食料品小売業で、精肉の加工販売をメインに、お弁当や仕出し、オードブルの製造販売を行っています。

経営革新取り組みの経緯

 旧山陽道の宿場町として栄え、菅茶山、頼山陽ゆかりの町である福山市神辺町。国道313号から少し北にある旧道沿い(三日市通り)には、参勤交代の大名が宿泊した“神辺本陣”などの歴史的建築物がその姿を残し、なまこ壁の商家が軒を連ねて、どこか懐かしい雰囲気を漂わせています。かつてはたくさんの人の往来でにぎわっただろうこの通りの一角にある、代わり映えのしない1軒のお肉屋さんが、ユニークな商品開発で経営革新を実現。新商品を看板商品に育て上げ、活気を失いつつあった、往時の賑わいとはほど遠くなってしまった通りに新たな人の流れを生み出して、注目を集めています。

 お店の名前は、(有)神辺中井商会。昭和46年創業の老舗の飲食料品小売業で、現在精肉の加工販売をメインに、お弁当や仕出し、オードブルの製造販売を行っています。店舗代表者である沖田眞由美社長が、3人の子どもたちをしっかりと束ね、また、3人の子どもたちは社長である母親を脇から盛り立てながら、家族でチームワーク良く店舗を切り盛りしています。

 同店が開発したユニークな商品というのが、同市が日本一の生産量を誇る“くわい”を使ったコロッケ。商品名は、その名もずばり“くわいコロッケ(150円)”。同市で生産されるくわいは全国生産量の8割を占め、市の環境イメージキャラクターにもくわいをモチーフにしたマスコットキャラクターが使われているほど、地元ではお馴染みの食材。2年前に同店を引き継ぎ、牛肉コロッケやカレーコロッケ、ウィンナーコロッケなどを開発し販売することで自社の売り上げを伸ばしていた沖田社長が、地元特産のくわいとコロッケのマッチングを試みたところ、「意外にこれがベストマッチ」。くわいコロッケは一躍同店の看板商品となり、これが後の経営革新へとつながることになりました。

 地域力連携拠点事業支援センター窓口専門家で、本県連東部支所駐在の赤木隆富専門家によると、くわいは小さな実から大きな芽が出ることからめでたい縁起物とされ、正月のおせち料理の中に必ず入っていたといいます。同店を視察した赤木専門家は、「くわいは本来、加工するものではないと我々は考えており、それをコロッケの具材にする発想は斬新」と、沖田社長のアイデアに感心した様子。

 くわいコロッケを思いつき、試作づくりに取り掛かったのが昨年2月ごろ。くわいの収穫期は冬場で、すでに収穫の時期を過ぎつつあったために、缶詰のくわいを代用して試作づくりに取り組みました。くわいの味つけや最適な分量を見つけ出すのに苦労しながら、約2か月かけて商品が完成。サクサクの衣の中に大粒でホクホクのくわいがたっぷりで、売り出した途端に注文が殺到。くわい本来の苦味と食感が存分に楽しめるうえ、店頭でしか手に入れることのできない希少性もプラスされ、地元で一気に火がつきました。

 同町では近年、フジグラン神辺をはじめとする大型商業施設の進出が相次ぎました。地元にある多くの商店街が衰退傾向を続けていたなか、沖田社長は店舗の目と鼻の先に、地元の誇りでもある歴史的建築物、神辺本陣があることに着目。本陣の宿場に残されている当時の献立表に掲載された食材を生かして独自性の高い商品の開発し、他と差別化を図ろうとした結果、最初にたどり着いたのがくわいでした。

 沖田社長はさらに、献立表にあったレンコン、ゴボウ、シイタケといった特産の食材生かした揚げたてコロッケを季節に応じて売り出す計画を立案。本県連東部支所とアイデアを出し合いながら、それに“本陣コロッケシリーズ”と命名。その計画は「観光資源と地元産品を活用した本陣コロッケシリーズの販売展開」として正式に認められ、沖田社長は昨年7月、経営革新の承認を受けるに至りました。

 その勢いをかって昨年11月、沖田社長は福山物産協会主催の「第1回びんご特産品コンテスト」に自信の作を出品。くわいコロッケは並み居る審査員たちの舌を大いにうならせ、『福山物産協会会長賞』を受賞するすばらしい結果を収めました。その後も自社PRを図ろうと、「神辺ウッドフェスティバル」「福山ばら祭り」など地域で開かれるイベントに積極的に出店。同店の名とくわいコロッケのおいしさは、多くの福山市民が知るところとなりました。さらに地元では、近隣の飲食店が本陣コロッケシリーズにならった独自メニューを開発し客足を伸ばすなど、くわいコロッケ効果は地域内外に波及しているようです。

今後の事業展開

 昨年11月、沖田社長は福山物産協会主催の「第1回びんご特産品コンテスト」に自信の作を出品。くわいコロッケは『福山物産協会会長賞』を受賞するすばらしい結果を収めました。その後も自社PRを図ろうと、「神辺ウッドフェスティバル」「福山ばら祭り」など地域で開かれるイベントに積極的に出店しています。

ただ、生のくわいが収穫できるのは、毎年11月中旬から2月中旬まで。おいしさとともに消費者に安心安全を届けるためにも、“旬の食材”を“地産地消”するのが沖田社長のモットー。缶詰のくわいを代用することはその思いに反するうえ、看板商品の価値を下げることにもつながるために、くわいコロッケは季節限定商品とならざるを得ません。「特産の食材を生かしたコロッケを季節に応じて販売」という経営革新計画をシナリオ通りに進めるためにも、くわいコロッケに次ぐシリーズ2作目を開発することが同店の大きな課題です。

 でも、くわいコロッケが店頭に姿を見せなくても、牛肉、カレー、ウィンナーはじめ、ひじき、なんきん、きんぴらといったユニークかつ美味でヘルシーなコロッケ(まぁーねぇちゃんのコロッケシリーズ)が常時店頭にスタンバイ。同店を訪ねれば、いつでもこの多種多彩な面々との対面や、味の食べ比べを楽しむことができます。同店のコロッケはさすがお肉屋さんならではで、「コロッケの約40%が肉」という贅沢な内容。しかもミンチ状にした肉ではなく、包丁でざっくり刻んだ細切れ肉が入っていて、どれを食べても肉の旨味とボリュームが存分に堪能できます。

 今年に入ってから冷凍コロッケの製造販売を開始するとともに、これをインターネットでも販売するなど、全国に向けて“お肉屋さんのコロッケ”の魅力を紹介する新事業にも着手。同店のおいしさを自宅にいながらにしてお取り寄せすることができるようになりました。みなさんもぜひ一度、お肉屋さんのコロッケを味わってみませんか。

専門家の声(赤木隆富地域力連携拠点事業支援センター窓口専門家)

 くわいは小さな実から大きな芽が出ることからめでたい縁起物とされ、正月のおせち料理の中に必ず入っていた。くわいは本来、加工するものではないと我々は考えており、それをコロッケの具材にする発想は斬新。くわいチップスなど、今でこそくわいを使った加工食品を目にすることはあるが、同店のくわいコロッケがくわい加工食品の先がけでは。

広島県商工会連合会東部支所

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