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広島の“旨味”を世界の食卓に

商工会工業部会新商品開発委員会が氷温域の塩水氷を作る画期的な製氷機を開発

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広島の“旨味”を世界の食卓に

▲新商品の開発と誕生に込められた思いを熱く語る、
熟成フリーアイスの発案者、株式会社土居技研の土居洋稔代表。

 

五日市商工会工業部会新商品開発委員会が氷温域の塩水氷を作る製氷機を開発し、完成品を披露する「新商品発表会」を23日、同商工会館で開きました。同委員会が開発したのは、氷をすり下ろしてシャーベット状の塩水氷を作る“熟成フリーアイス”。摂氏0度以下でありながら食品が未凍結のまま生き続ける温度領域=氷温域を利用して、食品の“旨味”をさらに引き出すために作られた装置です。

 

同委員会では、「この装置によって食品にいっそうの旨味を加えて流通させることが可能になり、新たな五日市ブランドの創出機会にもつながる」と、新商品に大きな期待を寄せているようです。

 

熟成フリーアイスは、食品の氷温熟成に適した塩分濃度1%~2%、氷温度摂氏マイナス0.5度~1.1度の塩水氷を作り出す装置。氷温熟成とは、食品が凍る直前の温度“氷温”で食品を一定期間貯蔵して、食品が本来持つ旨味成分を引き出す熟成法のこと。氷温域に置かれた食品には生命生存のメカニズム=防御反応が働いて熟成が進み、グルタミン酸やイノシン酸、アミノ酸などの旨味成分が増えることが確認されています。その氷温域を利用して食品の貯蔵、加工を行うのが“氷温技術”で、氷温技術を用いて作られた食品のことを“氷温食品”と呼びます。

 

氷温技術は添加物などを一切使用せず、食品の旨味成分を最大限に引き出すことができる技術として注目されていて、今では500品目を超える氷温食品が全国で開発され脚光を浴びています。熟成フリーアイスはその技術を手軽に応用して、付加価値の高い氷温食品を作ることを可能にした“夢の製氷機”ともいえる装置です。

 

昨年11月に産業用冷凍機製造販売“株式会社土居技研(佐伯区観音台3丁目)”の土居洋稔代表が、シャーベット状の海水氷を作る製氷機の開発を同委員会に提案。今年1月から同委員会で課題などについて十分な審議を重ねた後、試作機の開発研究に着手。精密板金加工の“株式会社アールテック・リジョウ(同区五日市7丁目)”の協力によって試作機が完成しました。

 

既存の装置は1台500万円から1億円と非常に高額なうえ、大掛かりな機械装置であることから普及が進んでいません。熟成フリーアイスは「安価で簡易な製氷機の実現」を目指し、それらの課題をクリアして開発された装置で、市販の氷を利用して氷温域の塩水氷を簡単に作り出せるのが大きな特長。

 

地元の食品関係者など約50人が出席した新商品発表会では、同委員会の武田軍三委員長が開発経緯を説明した後、熟成フリーアイスの除幕・お披露目が行われました。次いで、土居代表が発案者の立場から新商品に込めた思いなどを語り、実機によるデモンストレーションを披露。出席者らは15cm四方の氷がシャーベット状の塩水氷になる様子を驚きとともに見守っていました。

 

氷温食品の試食会も開かれ、出席者らが氷温技術を生かして作った果物や和菓子の味を堪能。さらに、通常の冷蔵庫の冷蔵室と熟成フリーアイスの塩水氷で貯蔵した野菜、果物を食べ比べて味や食感の違いを確かめ、塩水氷で長期間に渡って鮮度を維持したままのカキを食べて、夏場でも旬と変わらぬ味を味わうことができるのを確認しました。

 

県内各地域の特色ある生鮮食品に“旨味”を加えて流通させる新たなビジネスモデルを構築して、「広島ブランドを世界ブランドにまで押し上げたい」と意気込む同委員会。今後、代理店を募って熟成フリーアイスを販売していく計画で、収益金の一部を基金として積み立てて、工業部会の会員が提案する新商品、新製品の製造支援や、将来を背負う人材の育成に役立てたいと話しています。

 

新商品発表会に先立って記念講演が開かれ、“社団法人氷温協会(鳥取県米子市)”の山根昭彦理事長が“氷温食品入門”をテーマに講演。氷温誕生の原点や今日までの過程などを紹介し、氷温技術とその効果について詳しく解説しました。

 

山根理事長は氷温の世界について、「食品はそれぞれ固有の“氷結点”で凍り始め、摂氏0度からその氷結点までの温度領域が氷温域」「氷温域を一歩超えると食品は凍る。凍らないで延命を図ろうと、食品が体の中で不凍液を作り出すことで、氷温熟成という現象が起こる」「生きるか死ぬかの瀬戸際に追い込むことに意味があり、その環境を食品に提供するのが氷温技術」などと分かりやすく説明。

 

氷温技術の効果には、呼吸代謝が抑制されることによる“高鮮度保持化”、自己防衛の結果に伴う“高品質化”に加え、大腸菌やビブリオ菌などの“有害微生物の減少化”するために、衛生面では最高の環境で食品製造が可能になる、と出席者らに講義しました。

 

●お問い合わせ/五日市商工会 TEL(082)923-4138

 

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