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有機栽培の強い味方が手軽に完成

籾殻を入れて着火3分。後は待つだけで均一のくん炭が作れる“籾殻くん炭製造機”

クローズアップ商工会

安芸高田市商工会八千代支所

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有機栽培の強い味方が手軽に完成

▲お手製の“籾殻くん炭製造機”を使ってくん炭づくりに励む坂口政己社長。

 

安芸高田市八千代町で町工場を営む製缶士の一人親方が、「脱下請け」を掲げ、ニッチなニーズを狙って新製品を開発しました。

 

事前に営業展開などについての相談を受けた地元の安芸高田市商工会は、類似製品の調査や米農家への聞き取りを行った結果、限られた客層にしか購買動機が得られない商品群であると予想し、全国市場へ低リスクで営業展開が可能なホームページの新設を開発者に提案。さらに、営業資金がゼロに等しかったため、営業活動に必要なポスターやパンフレットなどの販促グッズも作成して販路拡大を支援。結果、その新製品は一部の層から高い評価を受け、「北は東北、南は九州まで、全国各地から引き合いがある」のだとか。小さな町工場が今、ニッチにこだわった新事業展開を軌道に乗せて、下請けからの脱却を図ろうとしています。

 

主に土壌改良材として広く使われている、籾殻くん炭を製造する機械。その名もずばり“籾殻くん炭製造機”。籾殻くん炭とは、稲を脱穀する際に発生する籾殻を炭化させたもので、培養土づくりに最適な土壌改良材として古くから農家などで利用されてきました。

 

籾殻くん炭製造機を開発したのは、同町下根で町工場“坂口鉄工”を経営する坂口政己社長。鉄工畑一筋の職人で、40年以上に渡って製缶組立、溶接加工などの分野を渡り歩き、職人としての腕を磨いてきた人物です。従業員として働いていた個人事業所の営業譲渡を受けて、1998年(平成10年)に同社を設立。以来、“鉄工に関わる何でも屋”として、同市内を基盤にした堅実な営業活動を展開してきました。

 

新製品の開発を思い立ったのは、一昨年11月のこと。脱下請けを目指して、坂口社長が新たな事業展開を模索していた折、出入りの業者からヒントをもらったことがきっかけです。籾殻くん炭製造機自体は既に世に出回っていましたが、坂口社長は既存品の“不”を解消することで、結果として既存品との差別化を図り、オリジナリティを高めることに成功。それが後の高い評価につながりました。

 

既存品は機械自体が大掛かりなうえに、その大半は据え置き式。坂口社長が開発した籾殻くん炭製造機は、市販のドラム缶(200L)にオリジナル加工を施したもので、高さ900mm、外径590mmと非常にコンパクト。ただし、煙突や吸気口をはじめとする各種パーツは、構造や形状、寸法、角度などを緻密な計算をもとに設計。さらに、本体底部に搬送用の台車を取り付け、女性でも手軽に持ち運べるよう軽量化を図った点が大きな特長。屋内外場所を選ばず設置でき、いつでも誰でも簡単に籾殻くん炭を作ることを可能にしました。

 

その作り方は実にシンプル。ドラム缶いっぱいに籾殻を詰めて、スコップ1杯分の籾殻と灯油を混ぜ合わせて作った着火燃料を投入し点火。着火後、約3分程度で蓋を閉じ、約6時間待つだけで均一に炭化したくん炭が作れ、籾酢も同時に抽出できます。

 

籾殻くん炭には土壌や作物を活性化させる働きがあり、病害虫の抑制にも効果を発揮。床土、培土、敷料、マルチ、堆肥づくりなど用途はさまざまで、化学肥料を使用しない無農薬・有機栽培に最適。食の安全・安心という時代のニーズに適したバイオ炭で、籾殻くん炭の製造過程で抽出される籾酢も、「病害虫の忌避剤として大いに役立つ」と坂口社長。

 

昨年12月から製造に着手し、3か月後に実機が完成。でき上がった数台を工場が建つ国道54号線沿いに並べて展示していたところ、車窓越しにその存在に気付き、籾殻くん炭製造機の正体について問い掛けてきた人が最初の購入者。

 

坂口社長がIT初心者であることから、同商工会が管理・運営するポータルサイト“安芸高田市ドットコム”に情報掲載した以外、WEB上でのPRを一切行っていないにも関わらず、全国から引き合いが相次ぎました。ただ、製造手順を明快に示した職員お手製のPRサイトに対して、後に購入者らから「どの類似製品の紹介よりも分かりやすかった」の声も寄せられたといいます。

 

送料が高いなどの課題が持ち上がると、買い手が注文時に抱く割高感を払拭するよう、地方への配送実績を送料とともにサイトに掲載してあらかじめ対策を打ち、購入者が手順書を求めれば、それに応じてマニュアルを作成。「常に報告、相談があったため切れ目ない支援ができた」と同商工会。実機完成後、約1年半の間に19台を販売。主な購入層は農家で、「なぜか全国各地から問い合わせが来るが、この近辺ではほとんど売れない」と坂口社長は苦笑い。

 

「意外に欲しいという顧客が多い一方で供給が追い付かない状況の中、個人向けという新しい視点と、これまでになかった低価格を実現したことが勝因では」。後発の不利に加え、過大な露出もしていない籾殻くん炭製造機が継続的に販売実績を上げていることについて、同商工会はそう分析。

 

現在の販売目標は月1台。まだまだ新たな事業の柱になるまでには至っていませんが、将来的には月10台を目標にしています。各種パーツの組み立て加工を外部に発注する段取りもできていて、月10台の販売を達成できれば、「請負業からの脱却が図れる」と坂口社長は意気込みます。

 

価格は1台7万9,000円(送料別で、製造手順書、掃除用具一式が付属)。籾殻からくん炭ができるまでの手順など、詳しくは安芸高田市ドットコムをご覧ください。

 

●お問い合わせ/坂口鉄工 TEL(0826)52-3155
●お問い合わせ/安芸高田市商工会八千代支所 TEL(0826)52-2542

 

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