アクティブニュース

全てみる

わがまちの元気印-カネト水産

牛乳販売業者と異業種連携した鮮魚の宅配サービスで、販売事業を自社の新たな柱に

事業所・店舗紹介

沼隈内海 商工会

動画で見る

わがまちの元気印-カネト水産

▲水揚げされたばかりの新鮮な真鯛を手に、満面の笑みを見せる佐藤弘常主任。

 

福山市内海町にある老舗の鮮魚卸売業者が、地域密着型のサービス事業を新たに展開。新規事業によっていっそう地域に愛される企業づくりを目指しつつ、さらなる収益性の向上と経営力の強化を図ろうとしています。

 

“せとうちど真中直行便”を掲げ、新たな事業展開に乗り出したのは、1921年(大正10年)に創業した“カネト水産株式会社”。同社が立ち上げた新規事業は、同市大門町の牛乳宅配業者と異業種タッグを組んで行う鮮魚の宅配サービスで、事業責任者で若き後継者の佐藤弘常主任は、「生産者と消費者の双方が幸せになれる“ウィン・ウィン”の仕組みで、地域社会に貢献したい」と張り切っています。

 

同社は、打瀬船で漁業を営んでいた佐藤主任の曽祖父が、鮮魚仲買業を起こしたのが始まり。昭和初期、現会長の祖父に代替わり。現会長は干しエビや海苔の加工に乗り出し、昭和後期以降、漁獲量の減少傾向が続く中で養殖用稚魚の種苗生産にも着手。事業を次々に拡大し、同社発展の基礎を築き上げました。平成の時代に入り、佐藤主任の父である現社長が種苗生産の技術開発に本格的に取り組み始め、4年前には広島県で初めてマハタの種苗生産に成功するなど、数々の実績を上げてきました。

 

現在、同社の主力業務は大きく分けて2つ。一つは、創業時から受け継いでいる鮮魚卸業。もう一つは、現社長が養殖技術を確立した稚魚の種苗生産。種苗生産とは、卵から孵化させた稚魚をある程度の大きさにまで中間育成する養殖法のこと。ある程度の大きさに成長した稚魚は、四国や九州の養殖業者に出荷しています。

 

中間育成でより良い種苗生産を行うために必要な餌料の培養技術も自社で確立。より良い動物性プランクトンを稚魚のエサにするために、その動物性プランクトンに良質な植物性プランクトンを与えるなど、目に見えないほどの小さな微生物の培養に至るまで一貫した養殖体制を整えています。同社のすぐ目の前に広がる栽培漁業には、真鯛、ヒラメ、マハタ、クロソイ、タイリクスズキの5種類の稚魚が数十万尾単位で養殖され、色とりどりの可愛らしい魚たちが水面近くを元気に、飛び跳ねるように泳ぎ回っています。

 

付加価値の高い養殖技術によって、すべてが順調に推移しているわけではありません。「年々漁獲量が減っていく中、魚価も下落傾向。おのずと相対的に養殖魚の価格も下がる一方」と佐藤主任。ただ、漁業の未来を憂いているだけでは現状は打破できず、新たな事業の柱を構築することで、迫りくる危機を乗り越えたいと佐藤主任は考えました。そこで思いついたのが、既存の直売施設の機能強化を図ることでした。市場に卸すための魚の集荷場として長らく埋もれていた直売施設を、人を呼べる直売店に変え、鮮魚の小売りを第3の商売の柱にしようと佐藤主任は立ち上がりました。

 

直売店を単に魚を売り買いする場としてだけでなく、消費者にとって敷居の高かった空間をコミュニケーションの場として開放し、“食卓提案の場”として生まれ変わらせました。漁場直送の新鮮な地魚を市価より格安で購入できるだけでも消費者にとっては十分な魅力ですが、直売店の高付加価値化を目指し、対面式の丸魚無料調理サービスを開始。さらに、母親とともに考案した魚料理のレシピ約30種類をお手製のリーフレットにまとめて、魚を調理することの楽しさを消費者に提案。「おいしい魚料理が作れた」。そんな声も日増しに増え、常時約20種類の魚が生簀に泳ぐ直売店はにわかに活気づいてきました。旬の魚にスポットを当てた集客イベントの客足も着実に増えています。

 

小売り部門の強化を図る一方で、その日の水揚げ情報やおすすめ情報を日々、自身のツイッターに投稿していた佐藤主任。即効性の高いツイッターを活用した地道な情報発信活動が、思わぬビジネスチャンスを呼び込むきっかけになりました。佐藤主任の“つぶやき”を目にした福山市内の牛乳販売業者から昨年末、ビジネスマッチングを求めるアプローチが舞い込んできました。

 

「新鮮な牛乳とともに新鮮な魚を消費者に直接届けてみては」との提案を受け、「いけると確信した」と佐藤主任。打ち合わせを重ねて業務提携へと至った両者は昨年12月、同市東部地域エリアとし、注文を受けた家庭にその日水揚げされたばかりの鮮魚を配達するサービスを共同で開始しました。宅配サービスは、毎週月曜日に佐藤主任が予想した水揚げ情報を牛乳販売業者がメールマガジンやチラシで配信。木曜日まで注文を受け付け、金曜日に各家庭に配達する仕組み。単品からでも受け付け、980円~2,980円の詰め合わせセットも用意。直送なので通常の小売価格よりも安く、配達料は1か月500円。配達時にはおすすめのレシピも添えて渡し、希望者には無料で下処理も行います。

 

宅配サービス開始後間もなく、佐藤主任は自社の取り組みを多くの人に知ってもらおうと、プレスリリースの作り方を独自に学び、テレビ局や新聞社などのマスコミに向けて情報を発信。その効果はてきめんで、佐藤主任の新たな試みはテレビや新聞を通して広く市民の知るところとなりました。その効果はすぐに現れ、消費者からの問い合わせや顧客からの紹介などが殺到。牛乳宅配業者のアナウンス効果もあって、当初わずか数件だった注文が多い時には80件以上に膨れ上がり、今では約50件から定期的な注文が入るといいます。

 

生産者にとっては水揚げした魚をいち早く届けることができ、消費者にとっては朝獲れた魚がその日のうちに食卓に上る仕組みを「ウィン・ウィンの関係」と佐藤主任。双方が幸せになれる新規事業を通じて、地域に笑顔を届け続け、地域に愛され続ける企業になりたいと自身も笑顔をほころばせます。

 

●お問い合わせ/カネト水産株式会社 TEL(084)986-2025
●お問い合わせ/沼隈内海商工会 TEL(084)987-0328

 

カネト水産株式会社のホームページはこちら

このサイトを広める