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わがまちの元気印-茶山饅頭総本舗谷口屋

創業147年の老舗和菓子店が新たな洋菓子ブランドを立ち上げ、客層の拡大狙う

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神辺町 商工会

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わがまちの元気印-茶山饅頭総本舗谷口屋

▲6代目店主の母親を支えながら、和菓子の枠に捉われないお菓子づくりに取り組む下宮洋一さん。

 

福山市神辺町で創業147年を誇る老舗和菓子店が、新洋菓子ブランドを立ち上げました。新洋菓子ブランドのコンセプトは、“和菓子屋さんの作る一味違った洋菓子”。和菓子の素材と技法を取り入れた、新しくてどこか懐かしい洋菓子を提供し、顧客層の拡大を図ろうとしています。

 

新洋菓子ブランドを立ち上げたのは、国特別史跡“廉塾・菅茶山旧宅”からほど近くに店を構え、昔の風情を残す通りの中に風格のあるたたずまいを見せる“茶山饅頭総本舗谷口屋”。地元の偉人の名を冠し、1955年(昭和30年)の「第14回全国菓子観光大博覧会」で「名誉金賞牌」を受賞した“茶山饅頭”、地元の酒蔵“天寶一”の酒粕を使った“地酒饅頭”などで知られる老舗です。同店が立ち上げた新洋菓子ブランドの名は、“Sweets Taniguchiya”。新ブランドを立ち上げて第1弾商品として売り出したのが、各種メディアで紹介され話題となっている“神辺本陣純生ロール(1個850円)”です。県重要文化財・史跡“神辺本陣”の瓦当(屋根瓦の軒先瓦)をイメージした、地域色豊かな洋菓子です。

 

開発したのは、老舗の運営を担う製造責任者の下宮洋一さん。創業から数えて7代目に当たる人物です。下宮さんは東京でお菓子づくりを学び、約5年間の修行期間を経て、8年前に家業を継ぐために帰郷。3年前に製造責任者になってから、「メインの高齢層だけでなく、幅広い客層に対応したい」と和菓子に洋のテイストを取り入れた創作菓子を次々開発。客層拡大を強化し、客数増加を図るための取り組みに意欲的に挑戦してきました。

 

白餡、寒梅粉などを隠し味として使用した生チョコ、新鮮な挽きたての抹茶、きな粉を使ったクッキー、葛と抹茶ミルクを組み合わせたプリンなど、和菓子の素材を生かした数々の洋菓子づくりに取り組み、商品化させてきました。

 

下宮さんが新ブランドを立ち上げるきっかけの一つになったのが、本県連東部支所が昨年9月から10月にかけて実施した「平成23年度広域講習会」への参加でした。地域活性化を目的に地域産品の開発や販路開拓を支援する“株式会社ゴールドボンド(大阪市中央区)”の大平孝代表による「販路開拓塾」と題したセミナーで、2日間のセミナー受講後、個別課題のフォローアップを目的とした、同社スタッフの派遣支援を受けました。

 

計3日間の派遣支援で、下宮さんは製造責任者に必要な新たな視点を数多く得ました。その一つが“チャネル戦略”。チャネル=販売ルートで、自社商品に適した販売ルートを構築することの必要性を下宮さんは知りました。その当時、地元スーパーから卸売り依頼を受け、試験的に卸販売を開始したところでした。包装一つにもこだわった同店の商品は、利益率が薄い卸販売には適さないことが分かり、対面販売を主体にしながら客層の拡大や客単価の向上を図る戦略を構築。

 

そのチャネルに対して、自社の持つ強みをどう加えたら売れる商品ができるか、と考えた下宮さん。「和菓子店として洋菓子を押し出せば、洋菓子が浮いた存在になるのでは」。ならば、「両者を分けて考えれば、洋菓子に自由度を持たせることができる」の考えが新洋菓子ブランド構想のきっかけになりました。

 

新洋菓子ブランド構想と並行して、下宮さんはゴールドボンド社の原価計算ソフトを活用した売価のシミュレーションにも取り組みました。全商品のデータをソフトに落とし込み、商品に見合った適正売価に見直す作業を1年近くかけて行いました。問題があると思われた商品には改良のメスを入れました。これまでの考えであれば、材料費のコストダウンが食品業界のセオリーでしたが、「品質はそのままに、作業効率を上げることで価格維持を図る手法があることを知った」。

 

「自分は菓子職人であり、良い商品を作りたい」という思いだけが強くありました。例えば豆のランクが2級なら、1級にしたいとばかり考えていました。「製造の責任を負うとなると、その視点だけでは駄目だと気付かされた」と下宮さん。腕ばかりに頼っても駄目。お客を喜ばせることだけを考えていても駄目。そもそも利益が出なければ商品を提供することすらできず、約1年、新洋菓子ブランドの立ち上げ以上に、「適正な価格で適正なモノを」を知るための努力に時間を割いたといいます。

 

近年の消費者は商品に興味を持った後、検索、他商品との比較を経て、購買という傾向にあり、広告の費用対効果がもはや低くなっていることも教えられました。検索時に自社商品が検索画面に載らなければ、どんなに良い商品を作ったとしても購入の対象にはならないことから、下宮さんはメディアに話題提供し、効果的な露出を図るパブリシティ戦略を立案。新洋菓子ブランドをマスコミなどに取り上げてもらい、消費者に告知するという考えで、自分で作成したプレスリリースを地元記者クラブなどに持ち込みました。その効果は徐々に現れ、地域経済誌やタウン誌、FMラジオなど、延べ7社の媒体を通じて新洋菓子ブランドをPRすることができました。

 

新ブランド第1弾の神辺本陣純生ロールは、「ロールケーキの生地は県内産の新鮮な卵を使い和菓子のかすてら作りの技法を取り入れることによりもちもちとした一味違った食感に仕上げました。生クリームは一般的に泡立てることの出来る物の中で一番乳脂肪分が低い物を使いあっさりしながら、ミルクの風味が強く感じられる北海道産の生クリームともう二種類のクリームをブレンドしてふわふわクリームにしました」(プレスリリースより原文ママ)。

 

カステラづくりの技法を取り入れたことで、スポンジのフワフワ感に加え、モチモチとした独特の食感を演出。3種類のクリームのブレンドに最も時間を費やし、約15種類のクリームを集めてさまざまな組み合わせと試行錯誤を繰り返し、1年以上かけてベストと思われる組み合わせを導き出しました。神辺本陣純生ロールは、神辺本陣所有者から販売の許可を得ており、神辺町観光協会公認の商品として売り出されています。

 

神辺本陣純生ロールの誕生により、“和の茶山”“洋のロール”の両輪が完成。和と洋の両輪に加え、職人技術と店舗運営という両輪の歯車も円滑に回しながら、地域に愛されてきた看板をこれからも守り続けていくために、下宮さんはこれまでの努力をさらに加速させていきたい考えです。

 

茶山饅頭総本舗谷口屋
福山市神辺町川北641
営業時間/午前8時から午後7時(日曜日は午後6時まで)
定休日/水曜日

 

●お問い合わせ/茶山饅頭総本舗谷口屋 TEL(084)962-0236
●お問い合わせ/神辺町商工会 TEL(084)960-2001

 

茶山饅頭総本舗谷口屋のホームページはこちら

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