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わがまちの元気な企業(府中市上下町) (2006/09/21)
[ラム酒とブランデーを贅沢に使った郷土銘菓の伝統を今に受け継ぐ−くにひろ屋]
昨年12月に「くにひろ屋」の看板を引き継ぎ、洋酒ケーキの伝統を今に伝える前原浩一さん
 府中市上下町を代表する銘菓として知られ、ひろしま夢ぷらざでも人気の高い“洋酒ケーキ”。同町に古くからある洋菓子で、「自分が幼いころから親しんだお菓子」と話すのは、同町小堀で食料品店を経営する前原浩一さん。前原さんは昨年12月、洋酒ケーキの開発者、曽根利之さんから「くにひろ屋」の看板を引き継いで、上下銘菓の伝統を今に伝え続ける人物。長年、食料品店とともに仕出し屋の経営に携わり、畑違いの世界に入って間もないにも関わらず、先月の“ひろしま夢ぷらざ便り”で同店おすすめのおみやげに推薦されるなど、洋酒ケーキの銘菓としての評価をますます高めている前原さん。その洋酒ケーキづくりの厨房を訪ねてみました。

 夏の暑さが残るなか、室温の高い厨房でコックコート姿で洋酒ケーキづくりに励んでいた前原さん。洋酒ケーキは、2種類のお酒のシロップがたっぷりしみ込んだカステラの口当たりと、ラム酒の豊かな香りで評判の洋菓子。前原さんは毎日、1,100個以上の洋酒ケーキを1人で焼き続けています。高齢になった開発者の曽根さんが、体力の衰えを理由に引退すると聞いたのは去年の秋。「幼いころから親しんだ郷土銘菓の伝統を絶やしてはいけない」。そんな思いに駆られ、曽根さんに弟子入りを申し出たのはそれから間もなくのこと。曽根さんと住居が隣り合わせだったこと、厨房設備が整っていたことなどが幸いし、ほどなく仕出し屋の業務と並行した、曽根さんとの二人三脚の修行が始まりました。

 曽根さんは地元では職人気質な人物として知られていた人。「厳しい指導の修行になる」と覚悟していた前原さんの失敗やつまづきを細かくフォローしては、曽根さんは丁寧な指導を行ったといいます。約2か月弱の修行を通して教えられたのは、手づくりによる製法。その基礎となる職人の手わざを前原さんは曽根さんはからしっかりと受け継ぎました。その後、仕出し屋を休業し、12月に独り立ち。前原さんの洋菓子づくりが本格的にスタートしました。

 スポンジ生地づくりのレシピは企業秘密としながら、「いかに口当たりのなめらかなカステラに仕上げるかが私の最大の使命」と前原さん。オーブンで焼いて一晩寝かせたスポンジ生地を、砂糖蜜とラム酒、ブランデーを合わせたシロップにさっとくぐらせて完成。その工程だけ見れば決して難しくは思えませんが、素材の配合やバランスで味は大きく変わるもの。同じ材料を使っても作り手によって味は変幻自在します。洋酒ケーキの味の秘密は職人直伝の製法と手わざ、手間のかけ方にあり、完成後のカステラのサンプルを毎回取っては日々研究を怠らず、敏感に味の向上に努めていることなどが、洋酒ケーキの高い評価につながっているようです。スポンジ生地の下準備から焼き上がりまで約1時間。前原さんは食料品店の業務に励むかたわら、毎日昼からこの工程を約6回繰り返して、1日に1,100個以上をオーブンで焼きます。多いときには2,000個以上を焼くこともあり、「郷土銘菓の伝統を守りたい」という使命感が前原さんの心と努力を支えています。

 封を開けるとラム酒の豊かな香りが漂います。口に運ぶと口のなかいっぱいにその香りが広がって、なめらかなケーキが気持ちよく溶けていきます。みなさんも一度、洋酒をたっぷり使った大人の洋菓子を味わってみませんか。価格は5個入り450円、10個入り1,050円、15個入り1,575円。上下町内の小売店、ひろしま夢ぷらざなどで販売しています。

●お問い合わせ/くにひろ屋 TEL(0847)62−2449
●お問い合わせ/上下町商工会 TEL(0847)62−3504
●お問い合わせ/ひろしま夢ぷらざ TEL(082)544−1122

(2006-09-07-A)
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